「実績がないのに、ポートフォリオなんて作れるわけがない」
Webデザイナーを目指す初心者の方から、こんな声をよく聞きます。確かに、クライアントワークの実績がゼロの状態でポートフォリオを作るのは不安ですよね。
でも、安心してください。実は、実績がない初心者でも魅力的なポートフォリオは作れます。大切なのは「何を載せるか」ではなく「どう見せるか」なんです。
私自身、これまで多くの採用面接に関わり、たくさんのポートフォリオを見てきました。その経験から言えるのは、実績の数よりも「あなたの思考プロセスと成長意欲」が伝わるポートフォリオの方が、圧倒的に評価されるということです。
今回は、初心者でも今すぐ作れる、案件獲得につながるポートフォリオの作り方を具体的にお伝えします。
ポートフォリオの本当の役割とは?
まず、ポートフォリオが何のためにあるのかを理解しておきましょう。
多くの初心者が誤解しているのですが、ポートフォリオの役割は「実績の多さを誇示すること」ではありません。本当の役割は以下の3つです。
1. あなたのスキルレベルを正確に伝える
クライアントや採用担当者は「この人に依頼したら、どのレベルの成果物が出てくるのか」を知りたがっています。実績10件でも質が低ければ意味がなく、架空プロジェクト3件でもクオリティが高ければ十分評価されます。
2. 問題解決能力を示す
デザインは見た目を整えるだけの仕事ではありません。クライアントの課題を理解し、それをデザインで解決する能力があるかどうか。ポートフォリオではその思考プロセスを見せることが重要です。
3. あなたの人となりや価値観を伝える
「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえるかどうかも、仕事につながる大きな要素です。ポートフォリオ全体のトーンや説明文から、あなたの誠実さや熱意が伝わるようにしましょう。
これらが伝われば、実績ゼロでも十分に戦えるポートフォリオになります。
初心者が載せるべき内容【具体例つき】
実績がない初心者は、何を載せればいいのでしょうか? 具体的に見ていきましょう。
架空プロジェクトでOK(ただし本気で作る)
「架空の案件」は初心者の強い味方です。ただし、適当に作ったものではなく、実案件のつもりで本気で取り組んだものを載せましょう。
おすすめのテーマ例:
- 地元のカフェのWebサイトリニューアル
- 架空のアプリのUI/UXデザイン
- 実在する企業のバナー広告(練習として)
- 友人のイベント告知用のチラシデザイン
重要なのは、各作品に以下の情報を必ず記載することです。
必須項目:
- プロジェクトの背景と課題(「なぜこのデザインが必要だったのか」)
- ターゲットユーザー(「誰に向けたデザインなのか」)
- デザインコンセプト(「どんな方向性で作ったのか」)
- 工夫したポイント(「どんな解決策を提案したのか」)
- 使用ツール
例えば、架空のカフェサイトなら:
【プロジェクト名】地域密着型カフェ「Café Lumière」Webサイト制作
【背景・課題】
オープンから3年目を迎える地元のカフェ。常連客は増えているが、
新規顧客の獲得に苦戦。特に若い世代への認知が課題。
【ターゲット】
20〜30代の女性、カフェでゆっくり過ごしたい人、
SNS映えを意識する層
【コンセプト】
「温かみと洗練の両立」。親しみやすさを残しながら、
若い層にも響くモダンなデザインに。
【工夫したポイント】
・メニュー写真を大きく配置し、視覚的な魅力を前面に
・Instagramとの連携で、リアルタイムの店内情報を発信
・予約導線を分かりやすく設計し、来店ハードルを下げた
【使用ツール】Figma、Photoshop
このように、実案件と同じレベルで考え抜いたプロセスを見せることで、あなたの実力が伝わります。
模写・トレース作品の扱い方
学習初期に行う模写やトレースも、見せ方次第でポートフォリオに載せられます。
NG例: 「有名サイトを模写しました」だけで終わり
OK例: 「◯◯サイトの模写を通じて学んだこと」として、以下を記載
- なぜこのサイトを選んだのか
- 模写する中で発見したデザインの工夫
- 自分ならどう改善するか(改善案も提示)
ただし、模写作品はポートフォリオ全体の3割以下に抑えましょう。メインはオリジナル作品であるべきです。
実案件がなくても大丈夫な理由
「でも、やっぱり実案件の実績が欲しい…」と思う気持ちは分かります。しかし、初心者の段階で重視されるのは「伸びしろ」です。
採用担当者やクライアントは、以下を見ています:
- 基礎スキルが身についているか
- 論理的に考えて説明できるか
- フィードバックを受け入れて成長できそうか
- 納期を守れそうか(誠実さ)
これらは架空プロジェクトでも十分に示せる要素です。
プロフィール・自己紹介も手を抜かない
作品だけでなく、あなた自身のことも丁寧に伝えましょう。
記載すべき項目:
- 簡単な経歴(前職や学習を始めたきっかけ)
- できること・得意なこと
- 使用可能なツール(スキルレベルも添えて)
- 連絡先
- 稼働可能時間(副業の場合)
特に「なぜWebデザイナーを目指しているのか」という想いは、人柄が伝わる重要な部分です。飾らず、正直に書いてください。
これはNG!初心者がやりがちな失敗例
次に、せっかく作ったポートフォリオの価値を下げてしまうNG例を見ていきます。
NG1:作品数を増やすために質を落とす
10個の平凡な作品より、3個の渾身の作品の方が評価されます。「とりあえず埋めよう」と作った作品は、見る人には分かります。本当に自信のあるものだけを厳選しましょう。
NG2:制作プロセスを一切書かない
画像だけペタッと貼って終わりでは、あなたの思考力が伝わりません。「きれいだけど、なぜこうしたのか分からない」では、プロとして信頼されにくいです。
NG3:他人の作品を無断使用・参考元を明記しない
模写やインスピレーション元がある場合は、必ず明記しましょう。隠すと後々トラブルになりますし、正直に書く方が誠実さが伝わります。
NG4:デザインツールだけをスキルとして並べる
「Photoshop、Illustrator、Figmaが使えます」だけでは不十分。どのレベルで使えるのか、何が作れるのかを具体的に示しましょう。
改善例:
- Figma:ワイヤーフレームからプロトタイプまで一貫して制作可能
- Photoshop:画像加工、バナー制作が得意
- HTML/CSS:基礎的なコーディングが可能(レスポンシブ対応含む)
NG5:連絡先が分かりにくい・反応が遅い
せっかく興味を持ってもらっても、連絡手段が不明瞭だったり、返信が遅かったりすると機会を逃します。メールアドレスやポートフォリオサイトの問い合わせフォームは分かりやすく配置し、連絡には24時間以内に返信しましょう。
ポートフォリオ作成の具体的ステップ
それでは、実際にポートフォリオを作る手順を見ていきましょう。
ステップ1:作品を3〜5つ準備する(1〜2週間)
まずは掲載する作品を作りましょう。ゼロから作る場合のおすすめは:
- バナー広告デザイン(2〜3種類)
- 企業やサービスのWebサイトTOPページ
- スマホアプリのUI画面(3〜5画面)
各作品で、デザインの目的やターゲットを明確にすることを忘れずに。
ステップ2:各作品の説明文を書く(2〜3日)
制作プロセスをしっかり言語化します。先ほど紹介した必須項目(背景・課題、ターゲット、コンセプト、工夫点)を必ず含めてください。
この説明文こそが、あなたの思考力を示す重要な要素です。
ステップ3:ポートフォリオサイトを構築する(3〜5日)
以下のいずれかの方法で公開しましょう。
初心者におすすめの方法:
- STUDIO:コーディング不要、無料プランあり、デザイン性高い
- ペライチ:簡単、テンプレート豊富
- Notion:手軽、更新しやすい
- Behance:デザイナー向けプラットフォーム、無料
コーディングができるなら自作も良いですが、時間をかけすぎないこと。大事なのは中身です。
ステップ4:第三者にフィードバックをもらう(1〜2日)
完成したら、必ず誰かに見てもらいましょう。
- デザイナー仲間がいればベスト
- いなければ、家族や友人でもOK
- オンラインコミュニティで意見を募るのも有効
「分かりにくい部分はないか」「もっと知りたい情報はないか」を聞いて改善します。
ステップ5:定期的に更新する
ポートフォリオは「作って終わり」ではありません。新しい作品ができたら追加し、スキルが上がったら説明文もブラッシュアップしましょう。
3ヶ月に1回は見直しをして、常に最新の状態を保つことが理想です。
初心者だからこそできるポートフォリオの強み
最後に、初心者だからこそ活かせるポイントをお伝えします。
成長過程を見せられる
ベテランには真似できない「これから成長する姿」を見せられるのは初心者の特権です。学習記録やビフォーアフターを載せることで、あなたの向上心と学習能力をアピールできます。
柔軟性と吸収力をアピールできる
「まだ固まっていない分、さまざまなスタイルに挑戦できます」という姿勢は、多様な案件を求めるクライアントにとって魅力的です。
情熱と誠実さで差別化できる
スキルで勝負できない分、あなたの人柄や熱意で選んでもらえることもあります。丁寧なコミュニケーション、誠実な対応を心がけましょう。
まとめ:完璧を待たずに、まず公開しよう
ポートフォリオ作りで最も多い失敗は「完璧を目指しすぎて、いつまでも公開できない」ことです。
60点でもいいので、まず公開してください。そして案件に応募したり、SNSで発信したりして、反応を見ながら改善していきましょう。
実績ゼロの初心者でも、考え抜いたプロセスと誠実な姿勢があれば、必ず評価してくれる人がいます。あなたの最初の一歩を応援しています。
今日からさっそく、あなたのポートフォリオ作りを始めてみませんか?

